諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した
諏訪原健(すわはら・たけし)/1992年、鹿児島県鹿屋市出身。筑波大学教育学類を経て、現在は筑波大学大学院人間総合科学研究科に在籍。専攻は教育社会学。2014年、SASPL(特定秘密保護法に反対する学生有志の会)に参加したことをきっかけに政治的な活動に関わるようになる。2015年にはSEALDsのメンバーとして活動した
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Twitter上で、「女性だけの街」をめぐる論争が高まりを見せているが…(※写真はイメージ)
Twitter上で、「女性だけの街」をめぐる論争が高まりを見せているが…(※写真はイメージ)

 Twitter上で盛り上がる女性が性犯罪に遭わないための「女性専用の街」の是非をめぐる論争。多くの女性の共感を生んだが、一部の男性たちから批判の声があがっている。元SEALDsの諏訪原健さんが参戦した。

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 ここしばらくTwitter上で、「女性だけの街」をめぐる論争が高まりを見せている。論争のきっかけとなったツイートは、「女性だけの街」があれば、性暴力に対して常に警戒しながら生活する必要もなくなるという主旨のものだ。発信者の意図を察するに、それは現実にそのような街をつくるべきだという話ではなく、性暴力が横行し、過度に自衛を迫られる現状から逃避できる空間があればいいのにという願望として受け取れるものだった。

 しかしそれに対して、「女性だけの街」と、人種隔離政策である「アパルトヘイト」とのつながりを暗示するような批判が行われるなど、もともとのツイートからの主旨からは大きく飛躍する形で論争が広がっていった。批判には様々な種類のものが見受けられたが、それらを見ていくと、そもそも女性であるか、男性であるかによって、この社会に対する認識も性暴力に対するリアリティも、大きく異なっているのではないかと思わされた。(なお、念のため断っておくが、ここで使われる「女性」や「男性」という表現は、あえて現在の日本社会で支配的なジェンダー規範に則っていることをご理解いただきたい)

 このように語る私自身も、何年か前まで、この社会が女性にはどのように見えているのかなど考えもしなかった。というよりも、自分が男性というだけで、どれだけ安全地帯に生きているのか、私は長い間気付いていなかった。そんなことを気付かされるきっかけになった話を、いくつか思い返してみようと思う。

 ある仲の良い友人の女性と、引越しについての話をしていた時のことである。彼女は急いで引越し先を決めないといけないらしく、時間があるなら手伝ってと言われて、一緒に探すことになった。

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女性にとって性暴力がどれだけ身近なものか