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 都や区の計画では、住民の保護でとくに配慮がいるのは高齢者や障害者、外国人らとされている。この区では65歳以上の割合がすでに4人に1人を超えているという。お年寄りのための施設がいくつもある。駅の反対側まで歩く間だけで、杖をついた人を2人見かけた。

 自分もひとごとではない。痛み止めがきれたせいか、腹が痛む。自然災害か、人為的な武力攻撃かはともかく、調子が悪く、家の中の移動にも苦労している時に避難を迫られたら……。

 3人1組の外国人ともすれ違った。父親らしい男性に抱っこされた赤ちゃんが、スカーフをかぶった女性にしきりに手を伸ばしている。

 戦後間もなく住みだした地元の男性によると、かつて子どもたちが「チョーセン人がきた」とはやし立てるようなこともあったという。前回の東京五輪より前というから、少なくとも半世紀以上はたつ。だが、関東大震災の時、混乱の中流言が広がり、多くの朝鮮人が殺害された例もある。万が一のとき、人々の心の「闇」が再び頭をもたげないといえるか。3人の姿を見て思った。

 1時間ほどで自宅にたどり着いた。久しぶりに歩いて、へとへとだ。地震用にまとめたリュックサックと持ち出し袋をはかると、計4.4キロ。これを持って避難するのは、いまの自分にはしんどい。

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