では、具体的に何をするのか。たとえば明日、番組にゲストを迎えるという日、私は事前にその人のプロフィールなどをまとめた簡単なメモをつくります。そして、そこに必ず自分なりに考えたその人にまつわる「イメージワード」を書き添えます。

 以前、特番に歌手のJUJUさんがゲストに来てくださったときのこと。ジャズから歌謡ポップスまで歌いこなす実力派シンガー、JUJUさんといえば、アメリカ・ニューヨークでの音楽修業の日々が思い浮かびます。

 ニューヨークは、季節の移り変わりがとても美しい街です。番組が放送されたのは、秋を迎えるころでした。今の季節はきっとセントラルパークがキレイだろうな。セントラルパークといえば、そこを舞台にした映画がいくつもあるな。『ティファニーで朝食を』や『レオン』、紅葉が美しかった『オータム・イン・ニューヨーク』、クリスマスになれば『ホームアローン2』。主役を演じたマコーレー・カルキンくん、かわいかったな……、という具合に、イメージを広げていきます。

 そういえば『プラダを着た悪魔』では、主人公が鬼編集長の細かいオーダーを受けてコーヒーを買いに行かされていたっけ。ニューヨーカーたちが愛してやまないコーヒー、最近はどんなものがはやっているのかな。日本にはないメニューがあったりするのかしら。JUJUさんのお気に入りはなんだろう。

「セントラルパークの秋」「映画の中のマンハッタン」「コーヒー」「ニューヨーカーの最新流行」。これで四つ、「イメージワード」が挙がりました。

 現場で使える・使えないは抜きにして、このように連想しりとりをしながら広げていきます。これらの「思い浮かんだすべてのイメージ」こそ、会話において「大丈夫、私にはとりあえずの一品がつくれるぞ」と安心できる「話題のストック」になるのです。

「この季節、たまにニューヨークの秋の風景も思い浮かぶんじゃないですか?」と、JUJUさんの思い入れの強い話題から入ってみます。すぐさま「そうなんですよ! 街を歩くだけで、見るもの全てに感動していましたねぇ」と、パッと目を輝かせて答えてくれます。

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