料理研究家の行正り香氏は、一人暮らしの人や、男性に自ら料理することをすすめている。一人暮らしの人は二人になったり、こどもができたりしたときに困らないようにするためだといい、男性に関しては「サバイバル能力」のためだとしている。
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今は奥さんがお料理を作ってくれていても、いつ奥さんが病気になるかわかりません。「私、もう、離婚させていただきます」と三行半をつきつけられることもあるかもしれません。何があるかわからない世の中で、たった一つだけわかるのは、自分のこと。変えることができるのは、自分です。
というわけで、最低限、おいしいご飯を炊きみそ汁を作り、秋刀魚くらい焼けるようになっていると、人間としてのサバイバル能力が違います。健康なときは、外に食べに行けばいいや、と思うかもしれませんが、病気になったときは、料理のカロリー計算だって、とても難しい。
料理を長続きさせる最大のコツは、誰のためでもない、自分のカラダを作っている、自分のためにがんばっている、と意識をすることです。カラダにやさしいものをオーバーカロリーにならない範囲で取り込むため、毎日工夫してバランスのよい献立を考え、そしてリズムを作る。そうしていくことで、たとえ人生で静かな、イベントの少ない時期を迎えても、パートナーからふられても、日々の生活を続けることが、生きる支えになってくれるような気がします。さあ、一人から、料理を始めよう。自分のために始めよう。
今週のレシピ「かじきまぐろのカレーソテー」は本誌で紹介しています。
※週刊朝日 2012年9月21日号