ドラマの構造は、主人公である頼朝が中盤で亡くなり北条政子が主役に繰り上がる(トメからトップにクレジットが変わる)というスタイルがとられている。大河ドラマでは斎藤道三から織田信長に変わる「国盗り物語」と同様だが、前半の視点でも政子に重きが置かれているので彼女が全体の主人公という構成になっている。

 キャスティング面では源頼朝役の石坂浩二、北条政子役の岩下志麻をはじめ、北条義時役の松平健、源頼家役の郷ひろみ、源実朝役の篠田三郎らが好演して、注目を浴びた。

 岩下志麻さんはNHK「バス通り裏」がデビューだからテレビ出演は珍しくないが、大河ドラマには初めての出演だ。そのときのことを次のように語っている。

「私はずっと役を演じるときは心身ともにベストの状態で挑まなければならないと思って仕事をしてきましたし、どちらかというと“短期集中タイプ”ですから、大河の一年間の長丁場を乗り切れるかどうか、とても不安でした。でも永井路子先生の原作を読んだら北条政子という人がとても好きになったので出演させていただきました」

 では政子のどんなところに惹かれたのだろうか。

「政子は猛女とか悪女といわれていますが、夫の頼朝や子供たちを愛した優しい女性でもあったと思えたのです。夫の愛人の家を焼き払ったりする嫉妬深さ、気性の激しさはありますが、本当は一本気でかわいい女性なんです。だから私が感じたなりの政子像を作りたいと思ったのです」

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