来春開催の第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)を巡る攻防にケリがついた。プロ野球選手会が9月4日に不参加決議を撤回し、「侍ジャパン」の出場が決定したのだ。多くの野球ファンが胸をなで下ろしたに違いない。
次の問題は監督人事だ。「監督自身がビッグネームでないとスター選手は従わないし、イチローやダルビッシュといったメジャーリーガーは招集に応じないかもしれない。そう考えれば適任者はさほど多くない」(ベテラン記者)。
そんな中、発言権が増しているのが、巨人の渡辺恒雄球団会長率いる読売グループである。そもそも今回の騒動は選手会がWBCの主催者(WBCI)に公平な利益分配を求めたものだったが、交渉相手は途中から「米国」ではなく読売新聞社になっていたらしい。
「WBCの日本ラウンドの興行権を持つのは読売新聞だから、彼らはWBCI側でもある。選手会は最終局面で、読売新聞の事業部と交渉していたようだ。そこで出てきたのがユニホームの袖スポンサー料の話。ここに広告を出したい日本企業はNPB(日本野球機構)に料金を払い、同額を読売新聞がWBCIに支払う……読売新聞が肩代わりすることでスポンサー権が日本に帰属する形にしたわけです」
こう解説するベテラン記者は「カネを出すのだから当然、口も出す」と読み、本命監督について、読売グループのスポーツ報知が5日付の1面で報じた山本浩二・元広島監督にお鉢が回ると推測する。
同じ5日付の1面で"秋山幸二"と打ったスポーツ紙もあった。
「彼は一度は固辞しているが、コミッショナーからアドバイザーとして頼りにされている王(貞治)さん説得を続けていて、翻意しそう、という情報もある。読売側も秋山さんを推すことで話が進んでいる、と言われていたんですが……」(スポーツ紙デスク)
どうも、本命はこの2人に絞られつつあるようだ。
※週刊朝日 2012年9月21日号