かつての同僚で医療問題にも造詣が深い仙谷由人・元官房長官は、「今井が生きていたら、日本の医療は変わっただろう」と言います。
国内外の歴史を振り返れば、時代の転換点で医師は大きな役割を果たしてきました。
鈴木寛・東大公共政策大学院教授は「革命は社会の『辺境』から起こる。そこに社会の矛盾が凝縮して存在するからだ。官僚やビジネスマンと違い、医師は患者を通じ、そのような矛盾と相対せざるを得ない。なかには革命家も生まれる」と言います。
鈴木教授は民主党政権時代に文部科学副大臣を務め、「政権のブレーン」と評されました。文教、医療政策に精通し、鋭い分析にはいつも驚かされます。
世界はグローバル化が進み、社会は不安定さを増しています。中国の大国化、イスラム世界でのテロ、難民問題も深刻です。我が国では少子高齢化が急速に進み、富の二極化が顕在化しています。社会の矛盾が蓄積する中で、従来の統治機構が機能しなくなっていることが、誰の目にも明らかになりつつあります。
私の周囲の女性医師を見ていると、医学部進学は、親や教師の勧めよりも、先輩に憧れてという人が目立ちます。日本の近代産婦人科医となった最初の女性であるシーボルトの娘、楠本イネ(1827-1903)や、最初の医師国家資格を持った女医である荻野吟子(1851-1913)を挙げる人もいます。
21世紀の革命家医師は、女性医師から生まれるのではないかと考えることがあります。
(注1)数値はサイト「女医のJOYライフ! 医療現場で生きる女性」から引用
※『病院は東京から破綻する』から抜粋