人から悪意ある言葉を投げられることがあります。そんな時、その言葉をうまく流し、嫌な気持ちを解消する方法があるといいます。生来の人見知りで「気にしい」だという人気ラジオDJの秀島史香さんが、20年の経験の中で培ったコミュニケーション術を綴った自著『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』から、「言葉のナイフ」を向けられた時の対処法をご紹介します。
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ラジオで20年仕事をしてきて、たくさんの方々とお会いしました。
価値観が自分と近いなと思う方もいれば、思ってもみないリアクションが返ってきて驚かされることも。すべての出会いが新鮮です。
ただ、皮肉、嫌味、セクハラ、パワハラ……そんな言葉のナイフを向けてくる人が一定の割合でいます。
「こんな仕事、まだやってたの? 30を過ぎた女の人がやるもんじゃないよ」
「君はただこっちの言うとおりにしていればいいから」
「声だけ聞いてどんな人かと思っていたけど……アッハッハ!」
と、まあ、いろいろありました。
言われたその場では苦笑いしてやりすごしましたが、うまく言い返せない自分にもムカムカして、その夜は悔しさが込み上げて寝つけなかったり、「今度こう言われたらこう切り返す!」と「秘密のノート」に書きながら、次回の対策を練り上げたりしたものです。
人間の心は本当にやっかいで、数千回の気持ちの良い出会いがあっても、たった1回の悪意のほうを強烈に記憶してしまうもの。今は、「必要以上に傷つくことはない」と思えますが、そうなるまでに20年の時間と場数が必要だったのかもしれません。
ラジオの仕事を通じて学んだことは、「100人いれば100通りのリアクションがある」ということです。当たり前のようですが、特に若いころは、善意には善意が返ってくると、単純に信じていました。もちろん、笑顔には笑顔が返ってくることが大半です。ですが、しかめっ面が返ってくることもあります。その瞬間びっくりして、「嫌われた!」とか「なんて失礼な人!」と思ってしまいますが、それはどこかで自分と同じような価値観を相手に期待しているから。