免疫チェックポイント阻害剤のしくみ
免疫チェックポイント阻害剤のしくみ
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 進行胃がんに対する薬物療法では、従来の治療に加えて分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤など、新しい薬剤を取り入れた治療や臨床研究が進んでいる。また、薬物療法が手術を可能にすることもある。好評発売中の週刊朝日ムック「胃がんと診断されました」では、薬物療法の最新状況を取材した。

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 近年、がんの薬物療法では、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤が注目されている。がん種によっては、臨床研究や治験などですでに効果が立証され、国の承認を得て、標準的な治療として使用され始めているものもある。

 胃がんでも、分子標的薬を使用した治療はすでにおこなわれており、免疫チェックポイント阻害剤についても今月厚生労働省の部会で承認され、間もなく治療に使えるようになる。また、従来の抗がん剤とこれらの新しい薬剤を使用し、治療の有効性をより高めるための臨床研究なども複数進行中だ。

 さらに、薬物療法と手術を組み合わせた治療によって、数は少ないながらステージIVからでも治癒につながる可能性も出てきている。

■胃がんで使用される分子標的薬は二つ

 分子標的薬は、がん細胞が持つ特異的なたんぱくや遺伝子などの分子のみに作用して、増殖を抑制する。胃がんでは現在、トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)とラムシルマブ(同サイラムザ)という二つの分子標的薬が標準的な薬物療法に組み込まれ、他の抗がん剤とともに使用されている。

 トラスツズマブは、遺伝子の変化によって、がん細胞にHER2(ハーツー)という物質が異常に発現している患者(HER2陽性患者)に有効な薬剤だ。HER2はがん細胞の増殖に関わるたんぱくで、トラスツズマブはHER2に作用して増殖を阻止する。

 国立がん研究センター東病院消化管内科医長の設樂紘平医師は、次のように話す。

「HER2陽性の患者さんは、薬物療法が必要な患者さんの約15%前後います。この方たちに抗がん剤に加えてトラスツズマブを使うと、がんがさらに縮小したり延命につながることが立証されています。陰性の患者さんでは効果がないため、治療の選択肢には入っていません。そのため薬物療法の際には、必ずHER2が陽性かどうかの検査をおこないます」

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