1979、80年以来となるリーグ連覇を狙う広島が、ここまで12勝5敗1分の首位と開幕ダッシュに成功した。18試合で97得点、チーム打率.276と、圧倒的な攻撃力が注目されがちだが、センターラインを中心とした守備力の高さも、強さの源となっている。その中心となっているのが、菊池涼介と田中広輔の二遊間だ。シーズン前の第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)にも揃って出場した同級生コンビが、攻守でチームを引っ張っている。
セカンドの菊池は、WBCでも好守を連発し、守備力はMLBでもトップレベルの域にあるという評価を受けた。プロ2年目の13年に二塁手としてのシーズン補殺数の歴代記録となる528をマークすると、翌14年は535で、2年連続で新記録を打ち立てた。さらに昨季も525を記録し、二塁手の歴代補殺数ランキングのトップ3を独占した。中京学院大学時代はショートだったが、野村謙二郎前監督が「併殺が取れる強肩と広い守備範囲」を理由にセカンドにコンバートし、当時レギュラーだった東出輝裕の故障離脱も重なって不動のポジションを確保した。
ショートの田中は、東海大相模高、東海大、JR東日本と名門チームを渡り歩いた選手で、プロ1年目から110試合に出場。2年目の15年は141試合出場で、当時レギュラーだった梵英心をサードに追いやって定位置を奪った。昨季は1番・ショートでフル出場し、失策数はリーグの遊撃手ワーストの18を記録したが、積極的なプレーゆえの失策も多く、田中本人も「失策を恐れない思い切ったプレー」を公言している。昨シーズン、この2人が併殺に関わった数は、菊池が102、田中が97でリーグトップを記録しており、投手陣は何度も2人の守備に救われた。
攻撃面でも、もう1人の同級生である丸佳浩を含めた1、2、3番トリオは、昨年12球団トップのチーム得点684の源泉となった。菊池は2番打者としてリーグ4位の打率.315をマークし、さらに23犠打はリーグトップで、繋ぎ役としての役割も果たした。田中は.265と打率は低いが、リーグ5位の77四球を選び、.367と高い出塁率でリードオフマンとして文字通り、チームをけん引した。