中国の西寧とチベット自治区のラサを結ぶ青蔵鉄道は、2006年に開通した。標高5000メートルを超える高地を走る列車……鉄道ファンを喜ばせるキャッチが並ぶ。しかしチベット問題が解決されたわけではない。
中国のチベットへの警戒感はいまだに解かれていない。実際、青蔵鉄道の沿線には、1キロおきとも思われるほど監視小屋が立ち、そこにいる職員が最敬礼で列車を見送る。
その象徴がラサ駅でもある。1日8本の列車がこの駅を発車し、中国へ向かう。その便数にしたら、駅舎はあまりに大きく、異様ですらある。
下川裕治(しもかわ・ゆうじ)
1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(隔週)、「たそがれ色のオデッセイ」(毎週)、「東南アジア全鉄道走破の旅」(隔週)、「タビノート」(毎月)など