もっとも20年は決して日本バスケのゴールでなく、あくまでもスタートだろう。昨年末に開催された高校バスケのウインターカップを見ると、先を考えて選手を指導しているコーチが間違いなく増えていた。

 190cmを越す選手は高校バスケの枠に入れば大型でも、世界の舞台やBリーグにおいてはせいぜい中型。そういう次のステップも考えて、例えば市立船橋高の赤穂雷太(194cm)はポイントガード(司令塔)のポジションを任されていた。山口颯斗(正智深谷)や永田渉(盛岡南)、杉野晴輝(四日市工)といった選手も、190cm中盤の体格でスリーポイントシュートや突破といったアウトサイドの動きに光るものを見せていた。高さやパワーに頼らず、将来を見越して基礎を身に付けようという発想が下の年代から根付いている。先の先まで見れば、悲観する必要はないのだろう。

 とはいえ男子代表の東京五輪出場権獲得は、日本バスケにとってかなり高い壁だ。その試練を克服するための時間も多くは残されていない。しかしその壁は日本バスケの発展のために、若い芽へ光を当てるために、必ず越えなければいけない。そんなシビアで意義深いチャレンジが、今秋から始まろうとしている。(文・大島和人)

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