竹芝桟橋から離れる新おがさわら丸
竹芝桟橋から離れる新おがさわら丸
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新おがさわら丸の特等室
新おがさわら丸の特等室

 船でしか行くことのできない場所。それが小笠原だ。出港する東京港竹芝桟橋から小笠原・父島までの距離は約1000キロ。東京〜沖縄航路がなくなった今、離島航路として日本で最も長い距離を、定期船「おがさわら丸」がおおよそ6日に1回往復している。

【新おがさわら丸の船内を写真特集で】

 おがさわら丸はライフラインと観光船双方の役割を持つ船である。そのおがさわら丸の新造船が完成、7月2日の初航海を控えて、6月29日竹芝桟橋で内覧会が行われた。

 「おがさわら丸」としては”3代目”。東京から小笠原への足としては、小笠原がアメリカから返還された1968年から4年後の1972年に就航した「椿丸」、1973年に就航した「父島丸」を含めると小笠原航路5代目の船となる。

 初代おがさわら丸は3553トン、全長110.5メートル、航海速力20.7ノット、先頃引退した2代目は6679トン、131メートル、22.5ノットだった。そして3代目はさらに大きくなって1万1035トン、150メートル、23.8ノット。1万トン越えは日本離島航路の船では最大級である。

 気になる小笠原までの所要時間は、初代が28時間、2代目が25時間半だったのに比較すると1時間半スピードアップして、24時間となった。「えっ、1時間半しか短くないの? 結局一晩かかるの?」などと言うなかれ。この1時間半の短縮は大きな意味がある。
 まず、出港時刻が午前10時から午前11時に変更となった。10時出港ということは、搭乗手続きなどを考えるとどんなにギリギリでも30分前ぐらいには着いていたいので、そうすると港に行く際、朝のラッシュにバッチリぶつかってしまっていたのだ。ラッシュ時に大きな荷物を持って乗る大変さは想像を絶する。11時出港になることでラッシュのピークには乗らないですむことになる。

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