男性の生涯未婚率(50歳で一度も結婚していない人の割合)はどんどん高くなっている。2010年時点で男性の「2割以上」が結婚歴なしで、その数は30年間で約8倍になった。
大阪大学では、40~79歳の男女90064人について、10年間にわたり婚姻状況とその後の死亡との関係を追跡調査し、2007年に発表している。それによると、独身男性は既婚男性に比べて循環器疾患で3.1倍、呼吸器疾患で2.4倍、外因死(事故や自殺)で2.2倍、全死亡では1.9倍の死亡リスクの上昇がみられたというのだ。
長年、数多くの心臓手術を手掛けてきた大崎病院東京ハートセンター南淵明宏センター長も、同じような傾向を感じているという。
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現場の感覚としては、とにかく「独身男性」というのが心臓病になりやすいという印象が強い。未婚者や、やもめ暮らしの方の救急搬送がとにかく目立つ。狭心症や心筋梗塞を発症する平均年齢は60歳ですが、30代という若さでも重症な人がいて、聞けば必ず独身男性なのです。
そういう方は一様に、好きなものばかり食べたり、外食ばかり、とにかく食生活が偏っている。外食では鮮度や添加物など確かめようがありませんし、「出されたものを食う」という男性の本能で何でも口にしてしまいます。
独身だと往々にして時間にもルーズ。毎晩飲んで寝るのが遅いという生活では、腸内細菌や自律神経の日内変動のバランスも狂います。さらに掃除がおろそかだと、部屋はダニやカビなどばい菌だらけ......。口内、爪、耳、足先などの汚れも、心臓病をはじめとする現代病を招くといわれています。
一方、女性は食を見る目が鋭いし、清潔好きな存在です。そんな女性の「管理下」に置かれる既婚者のほうが病気にはなりにくいのです。
※週刊朝日 2012年8月3日号
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