GKは、トゥーロン国際大会に出場した櫛引政敏(鹿島)と中村航輔(柏)で決まりだろう。

 櫛引は鹿島で出場機会を得られていないが、最終予選で正GKを務めたように、U-23日本代表における実績は申し分なく、手倉森監督からの信頼も厚い。一方、中村は負傷によって最終予選を欠場したが、昨季は福岡で、今季は柏でレギュラーとしてピッチに立っているため、実戦経験と現状の試合勘では櫛引を凌いでいる。

 負傷者が相次いだサイドバックには、両サイドをこなせる亀川諒史(福岡)を選出。最終予選で評価を高めた室屋は6月中に実戦に復帰できる見通しとのことだが、松原がすでに5月29日の仙台戦で途中から出場し、6月5日の福岡戦でフル出場を飾ったため、ここは松原にした。

 ここに左サイドのスペシャリストである山中を加えたいところだが、回復が遅れているため、同じく左サイドのスペシャリストで、オーバーエイジの藤春を推したい。室屋も山中も五輪出場を目指し、懸命にリハビリしているはずだが、復帰を焦るあまり怪我を再発させてしまうことだけは、将来のためにも避けたい。指揮官には、連れて行くのか、外すのか、早期の判断を求めたい。

 センターバックはもともと、植田直通(鹿島)、岩波、奈良がハイレベルなポジション争いを繰り広げ、選考において唯一、波風が立たないだろうと思われていた。ところが前述したとおり、奈良と岩波が負傷離脱してしまった。岩波は本大会に間に合いそうだが、奈良の穴を埋めるために、オーバーエイジを選出して補強したい。
 名前の挙がっている塩谷は、センターバックに加え、サイドバックとしてもプレーできる。最終予選の23人と異なり、18人とエントリー人数が少ないオリンピックでは、こうしたユーティリティプレーヤーの存在が心強い。

 ボランチには遠藤航(浦和)、大島僚太(川崎)、原川力(川崎)、橋本拳人(FC東京)を選んだ。ボランチのふたつのポジションに対して4人を選んだのは、遠藤のセンターバックでの起用を視野に入れてのことだ。さらに、橋本もサイドバックをこなすことができる。

 遠藤、大島、原川はこのチームにコンスタントに選出されてきた常連組。一方、橋本はFC東京での今季のパフォーマンスが認められ、最終予選後に招集されるようになった新顔だ。今季のAFCチャンピオンズリーグで披露したように、大柄な選手に当たり負けしないフィジカルが魅力で、ボールを奪う能力と前に持ち運ぶ能力も高い。これまでのチームにいないタイプで、プラスアルファをもたらすことが期待できる。

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