低い姿勢から高速で繰り出される吉田のタックルは、動き出す前の予備動作が小さく、防ぎづらい。特に構えが高い海外勢にきまりやすく、百発百中に近い得点率を誇ってきた。ところが、キャリアが長くなるにつれ分析され、防御の研究がすすみ、返し技で失点する場面も出てきた。昨年の世界選手権決勝ではスウェーデンのソフィア・マットソンにタックルを封じられ、2ー1で勝利したものの試合後、通路に戻ってきた吉田は座り込み「怖かった。負けるかと思った」と涙を流した。

 とはいえ、初めて世界一になった2002年以来、吉田が試合で敗れたのは2008年1月と2012年5月の2回だけ。どちらも国別対抗団体戦(W杯)で、国内では今も連勝が続いている。

 これら五輪イヤーに味わった2回の敗戦のたび、実家で子どもたちと交じってレスリングをすることから再スタートした。父とともに基本をおさらいし心と体を磨き上げ、本番では圧倒的な強さを見せつけて北京五輪で2連覇を果たした。

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