デビュー戦で左越え本塁打を放った前田健太(c)朝日新聞社
デビュー戦で左越え本塁打を放った前田健太(c)朝日新聞社

 ロサンゼルス・ドジャースの前田健太にとって、メジャーデビュー戦は百点満点と言っていい上々の結果に終わった。サンディエゴ・パドレスを相手に敵地で6回を投げて5安打、4奪三振、無失点で初勝利。驚きのメジャー初本塁打も飛び出した。何より無四球と持ち味の制球力を大舞台でも発揮できたことは、今後を見据えた上で大きな意味を持つ。

 ひとつめの山場は初球を投げる前。1回表にドジャースが打者8人の猛攻で4点を先制したことで、30分以上もマウンドに登るのを待つはめになったことだ。むろん、序盤に大量リードをもらうのが嫌な先発投手などいない。だが待ち焦がれたメジャーデビューを寸前でお預けとされたのでは、早く投げたいと焦る気持ちが募ってもおかしくはなかった。

 だが前田は先頭打者に2-0とカウントを悪くしたものの、最後はきっちり打ち取り、三者凡退で切り抜けている。「最初は少しナーバスだったが、味方が4点も取ってくれてとてもリラックスできた。いつもどおりにマウンドに上がれた」と語ったように、前田はしっかり仲間の援護を自らの力に変えることができていた。

 そして最大の山場は6回だった。先頭打者にヒットを許したものの、続くコリー・スパンゲンバーグはショートゴロ。併殺かと思われたが二塁ベースカバーのチェース・アトリーが送球を落球し、一度はセーフと判定された。ところがチャレンジの結果、アウトに判定変更。これで流れはドジャースに傾いたかに思われたが、前田が3番マット・ケンプにヒットを許して1死一、三塁。続く一塁ゴロで三塁走者がホームへ突入した。今度はアウトと判定されたものの、走者の足が速かったのではないかとパドレスがチャレンジする事態となったのだ。

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