羽生にとっては、NHK杯、GPファイナルと300点超えを果たしながらも、全日本選手権ではジャンプミスがあり悔しい思いをしている。その悔しさをむしろモチベーションにして、世界選手権ではさらなる飛躍を目指してくるだろう。
一方の女子は、ジャンプだけでない個性の時代。ほとんどの選手が「3回転+3回転」または「ダブルアクセル+3回転」という連続ジャンプを高得点源としており、ジャンプの基礎点に大差がつかないのだ。ジャンプをノーミスでこなした上で、どんな個性溢れる表現をするか、そして卓越したスケーティング力を見せるかが勝負所となる。
そのなかで1人、特徴が図抜けているのは浅田真央。“今大会でトリプルアクセルに挑戦する女子は浅田のみ”という状況が予想される。ダブルアクセルの基礎点が3.3点、トリプルアクセルは8.5点と、一気に得点の上がる大技。これが決まれば、点数だけでなくモチベーションも上がり、好演技が期待できるだろう。
また今季25歳を迎えた浅田は、滑りも表現力も、大人の女性らしい円熟味が出てきた。昨季1年休養したことで、アイスショーではエンターテインメントに徹し、スケート以外の時間も充実させた。その幅広い経験のすべてが、表現力に繋がっている。
シーズン始めのジャパンオープンと中国杯では、一皮剥けた演技でファンを魅了。しかし年齢的にも全試合でピークを持ってくるのは難しい様子で、一時的に調子を落とした。全日本選手権では復調の兆しを見せており、2月の四大陸選手権を見送り、世界選手権にピークを合わせる作戦をとった。今季の集大成といえる、感慨深い2曲を披露してくれることだろう。