また宮原知子も、GPファイナルで銀メダル、四大陸選手権優勝と、勢いがある。彼女の持ち味はなんといっても安定性。「3回転+3回転」の成功率も高く、また正確無比であることから、ジャンプへのストレスを感じさせない。むしろ今季は、ジャンプよりも表現へと力を注ぐ余裕さえ生まれている。妖艶なフラメンコのショートと、リストのピアノ曲を可憐に舞うフリー。どちらも宮原の新しい個性を引き出すプログラムとなっている。
さらに昨季に飛躍を果たした本郷理華は、今季は表現力をより伸ばすシーズンだ。ショートはシルク・ドゥ・ソレイユの「キダム」で、フリーは「リバーダンス」。彼女の力強さとダイナミックな動きを生かした2曲で、観客の手拍子と声援を集めている。
表彰台争いとしては、ロシアのエフゲニア・メドベデワ、エレーナ・ラディオノワ、アンナ・ポゴリラヤはジャンプの安定性があり強豪。米国のグレイシー・ゴールド、アシュリー・ワグナーらはダイナミックなジャンプと大人びた演技が光る。誰もがジャンプの構成としては互角に近く、滑りや演技での勝負となることは間違いない。
いずれにしても、男女ともシーズンのクライマックス。これまでの練習の成果をそれぞれが発揮し、名演が1つでも多く生まれることを願いたい。
文=野口美恵