「ご主人の稼ぎが決まっているといったB子、彼女のご主人はキャリアの官僚なの。東大卒ではないけれどね。持ち家だけどローンもあるし。だからこのなかでは“中の上”くらいかしら」

 アイコさんは、夫と渋谷区内のマンションで2人暮らし。子どもがいない、高層マンションに住んでいるが持ち家ではない。だから、グループ内でのマウンティングは“中の中”もしくは“中の下”くらいだという。

 そんな会話を聞きつけたのか、マウンティング最上位のA子さんがアイコさんに声をかけた。

「アイコ! 世田谷区に来ないの? ご主人のお稼ぎいいのだから。お家、買って貰ったら?」

 早速、アイコさんが皆に聞こえるように明るく大声で返す。

「うちは主人の勤め先から近いところがいいのです! 港区や世田谷区では勤め先から遠くなりますから。それにうちはまだまだ港区や世田谷にお家買えるほどの余裕はまだございませ~ん!!」

 集まったみんながまた爆笑の渦に包まれる。アイコさんのご主人は7歳年下。東大法学部卒、外資系証券勤務のエリートだが、稼ぎの面では、正直、A子さんの夫にはまだ及ばないという。

「A子のご主人はお医者様。A子のご実家は都内の企業経営者。ご主人のご実家は大きな病院を経営されていらっしゃるのね。お金には困っていない子よ。お子さん2人、どちらもお受験成功しているし。うらやましいわ」

 こう語るアイコさんだが、「うらやましいとは思うけれど嫉妬心はない」と話す。

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