「孫の顔も見れて、孫と笑っていられるだけで幸せやわ」

「死んでしまったら、イヤなことも経験できないわ。生きているからこそ、つらいこと、イヤなことも経験できるんよ」

 そんな祖母をつらい時は思い出す。

「そや、おばあちゃん、言ってたよなあ。『生きていることに感謝』と」

 そして、生きていることに感謝する。

 こんなことを言うと、「死ぬほうがラク」と言う人もいる。

 わたしは、父が医者だったせいか、「死にたくない」と、言いながら死んで行った人たちも、いっぱい知っている。

 だからこそ、「生きる」ということにこだわっている。

 ただし、わたしの祖母も、「死にたい」と言ったことがある。

 ガンの末期だった。

 あんなに生きていることを感謝していた祖母が痛みに耐えられなくて

「もういいわ。こんなにしんどいなら死にたい」

 そう言った。

 もちろん、わたしたちは、

「何、あほなこと言うてるの」

 そう言った。

 その後、昏睡状態になって、そのまま亡くなった。

 そんな祖母の最期をわたしたちは看取った。

 だからこそ、やっぱり、ギリギリまできちんと後悔ない人生にしたい。

 つらい時は、祖母の最期のシーンを思い出して、立ち直っている。

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