いいかげんに生きている自分が恥ずかしくなった。

「日本のために何ができるか」

「後世のためにわたしは何をしなければならないのだろうか」

 初めて考え出した。

 あれから何度も知覧特攻平和会館に足を運んだ。

 何人もの仲間を連れていった。

 連れていった仲間も、それから何度も知覧に足を運んだり、他の仲間を連れて行ったりしていた。

 あれから、何年もたって、いろんなメンバーが知覧を紹介したり、雑誌などでも広報された。

 最近では、ベストセラーになった百田尚樹さんの『永遠の0』(講談社文庫)の本や映画の影響もあって、たくさんの人が訪れるようになって、完全に観光地になった。

 読みにくい手紙もデジタル化されて、映像もあって、会館もとってもきれいになった。

 日によっては、混雑していて、かつてのように、静かに浸れない日もある。

 でも、ゆっくり、ひとつひとつの手紙を読むと感じるものはたくさんある。

 明日、死にに行く10代の若者の笑顔。

 もし、いま、わたしが、彼らと同じ状況になっても、ぜったい、こんな笑顔になれない。

「どうして、そんな笑顔でいられたの?」

「どうして、そんなに明るく死んでいけたの?」

 もし、彼らに会えたらいっぱいききたいことがある。そして、何よりも

「あなたたちが、思い描いた日本ですか?」

 そう問いかけたい。

次のページ