「ずっとわが家で私と息子だけをみていて下さい」というミドリさんの“逆プロポーズ”は見事実り、今は家族3人で暮らしている。
「最初の結婚では夫の女性問題で悩み、2回目の結婚では旧来の価値観に悩まされました。3度目の正直で自分らしい結婚生活を手に入れました。これで教育者としての仕事にもようやく打ち込めます」
幸せいっぱいの表情でミドリさんはこう話す。それに従うように、今はハウス・ハズバンドとなったコウタさんがミドリさんの言葉にほほ笑みながらひとつひとつうなずいていた。
紹介したサチコさん、ミドリさんのようにキャリア女性たちの結婚は、やはりサポート役となるハウス・ハズバンドが適しているのだろうか。企業の組織論に詳しい、ヘッドハンターでストラテジック パートナーズ ジャパンの兼本尚昌社長は次のように語る。
「ビジネスで成功している男性の配偶者は専業主婦が圧倒的に多い。他方、女性で成功している人の配偶者は、作家、ミュージシャン、芸術家の卵など、まだまだ『自称ですけど』的な人がすくなくなかったような印象はある」
国立社会保障・人口問題研究所の第14回出生動向基本調査(2010年)によると、「年上女性と年下男性」の婚姻は、20歳から48歳まで年々増え続け、その割合は女性が28歳時点では約30%、36歳では約40%、42歳では約50%、48歳では約70%にまで高まっている。つまり女性の婚姻年齢が高ければ高いほど、「年下夫」との成婚率が上昇するというわけだ。
年上男性が年下女性を養うという旧来からの婚姻形態は、この結果からもわかるようにとうの昔に崩れている。これからますます、今回紹介した婚姻が増えていくことは間違いなさそうだ。
※本文中、カタカナの名前は仮名です。
(フリーランス・ライター・秋山謙一郎)