水野氏は「うまく話せるかどうかではなく、自分の思いをどのように伝えるか、そっちに気持ちを集中させてください」(同書より)と述べ、失敗することの不安で頭をいっぱいにするのではなく、用意した原稿をチェックするなど、言いたいことを伝える準備に時間を割き、目の前の目標に集中したほうが良いと訴えている。

 いずれにせよ、慢性化すると不安感に苦しむことになるので、早い段階で適切な治療を行うことが必要だ。同書では、精神科医の森田正馬(もりた・まさたけ)氏によって確立された「森田療法」はじめ、世界的に注目されている「認知行動療法」や、症状が劇的に改善する「電気療法」など、さまざまな治療法を取り上げている。

 水野氏によれば、こめかみに電極をあてて電流を流す「電気療法」は、現代では安全性も高く、けいれんを起こすこともないので、有効な治療法なのだが、前述の『カッコーの巣の上で』でのイメージがあまりにも強かったため、抵抗を持つ人が多いのだという。

 精神医療をめぐっては、情報が少ないことから生じる誤解や偏見も多い。水野氏は、治療者の側から、正しい情報を積極的に発信していくべきだと訴える。早期治療の大切さや、自分にあった精神科医の選び方など、より実践的に解説した同書は、現代人に必須のメンタルヘルスの手引として、必読の内容となっている。

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