シーズンオフの恒例となっているのがFA選手の去就だ。今年は相川亮二(ヤクルト→巨人)、金城龍彦(DeNA→巨人)、成瀬善久(ロッテ→ヤクルト)、大引啓次(日本ハム→ヤクルト)、小谷野栄一(日本ハム→オリックス)の5人がFA権を行使し、球団を移った。
FA選手を獲得した球団は、獲得した選手が所属していた前球団に「金額による補償」、あるいは「人的補償」をしなければならない。14年はFA権を取得した大竹寛を巨人が獲得し、大竹が所属していた広島は人的補償で巨人から一岡竜司を獲得した。この一岡が中継ぎとしてシーズン前半に活躍し、広島躍進の象徴的存在になったことは記憶に新しい。
人的補償が発生する可能性があるのは、獲得した選手の年俸が旧球団の中で1~3位(Aランク)と4~10位(Bランク)の場合に限られる。つまり、金城と小谷野は前球団での年俸が11位以下だったので人的補償の対象にならない、ということだ。
FA選手を獲得した球団は人的補償で主力が指名されないよう、28人をプロテクト(保護)できる。この28人の選定が難しい。ベテランや故障持ちの選手はプロテクトしなくても相手球団が獲得しないだろう、と思っているとそんなことはない。過去には次のような選手が人的補償で移籍している。
06年 工藤公康/巨人→横浜(横浜・門倉健の人的補償)
07年 福地寿樹/西武→ヤクルト(ヤクルト・石井一久の人的補償)
12年 馬原孝浩/ソフトバンク→オリックス(オリックス・寺原隼人の人的補償)
13年 一岡竜司/巨人→広島(広島・大竹寛の人的補償)
(※年はその年のシーズンオフを示す。移籍が発表された時期は、工藤が07年1月、福地が07年12月、馬原が13年1月、一岡が14年1月)
工藤は当時43歳という年齢、馬原は右肩の故障が在籍球団にとっては「指名されないだろう」という目くらましになった。そういう駆け引きが、今年は相川をめぐって巨人とヤクルト、成瀬と大引をめぐってヤクルトとロッテ、日本ハムの間で行われる。
巨人とヤクルトのプロテクト28人はどのような顔ぶれになるのか。そして、ヤクルト、ロッテ、日本ハムは人的補償で誰を獲得しようとしているのか。予想してみよう。