今年も残りあと1カ月。年賀はがきの準備であれこれ思いをめぐらせている人も多いだろう。コミュニケーションツールとしてSNSが浸透しても、“その人らしさ”が表われる年に一度の年賀状の風習は大切にしたいものだ。また、この時期になると喪中はがきが届いたり、送ったりすることもある。この喪中はがきのマナー、知っているようで意外に知らないことも多いようだ。あなたは大丈夫だろうか。
葬儀相談員で、一般社団法人 終活普及協会理事の市川愛さんによると、喪中の範囲は一般的には二親等(祖父母、孫、兄弟姉妹)までだが、二親等でも別居している場合は喪に服さない場合もあり、また逆に、三親等以上であっても同居していたなど、特別親しい場合は喪中とする場合もあるという。そもそも喪中はがきのことを、自分の身内に不幸があったことを知らせる“訃報”と思っている人も多いが、これは誤った解釈であることはご存じだろうか。喪中はがきのことを正式には「年賀欠礼状」といい、送る側が、お正月に新年を喜ぶあいさつを控えることを詫びる意味のもので、裏を返せば、喪中であっても年賀状を受け取るのはなんら問題がなく、マナー違反でもないのだそうだ。
株式会社ネオマーケティングが全国の毎年年賀状を送る20代~60代の男女500名を対象に行った調査によると、「喪中でも年賀状は欲しい」と回答した人が半数以上の55.4%に達し、「喪中の時に年賀状を受け取ることがマナー違反ではないことを知っていたか?」との回答には、約半数の45%の人が「知らなかった」と答えた。また、「自分が喪中の時、年賀状が来なくてさみしかった」と答えた人は63%にも達し、「喪中とはいえ、年賀状をもらうとうれしい」と答えた人は約半数にのぼった。
もしもあなたが喪中でも年賀状を受け取りたいと思ったら、喪中はがきの文面に、「年賀状をお待ちしています」や「例年どおり、近況をお知らせください」などと書き添えてみるといい。また逆に、喪中の人には、“年賀状”ではなく、“年始状”として送ったり“喪中見舞い”とすれば、配慮とお悔やみの気持ちが伝わるはずだ。そもそも相手を気遣い、その想いを伝えるためにある新年のあいさつ状であることを思えば、ふさわしい言葉遣いもおのずとわかるのではなかろうか。日本人の大切な習慣を継承して行きたい。