大学入試における高校の実力を測る指標といえば、東京大学と京都大学の合格者数だ。ただ、中高一貫の進学校は都市部に多いなど、地域性を考慮しなければ本当の“実力”は見えてこない。今回、全国を七つのエリアに分けてランキング。2019年のデータを読み解いた。
地域別のランキングの前に、全国区の東大・京大合格者数ランキングを確認しよう。東大は、東京の中高一貫校が1~3位を独占した。関西圏からは唯一、灘(兵庫)が入ったが、首位の開成と合格者数は112人の開きがある。大学通信の安田賢治常務は、次のように話す。
「灘は1学年が220人程度で、うち200人近くが理系。その大半は、医学部の志望者です。東大合格者数が減っているというよりは、医学部志向の高まりと見るのがいいでしょう」
一方の京大は、北野(大阪)、膳所(滋賀)など公立校が強さを見せた。安田さんが注目するのは、合格人数だ。
「かつて関西の県立トップ校は、京大への合格者が100人を超えていました。それが今は、50~70人程度にまで減っている。関西全体で医学部志望者が増加し、その分、京大志願者が減少しています」(安田さん)
医学部人気には、2012年に京大の山中伸弥教授がノーベル賞を受賞した影響も大きいという。
「これまで医師は現場で治療に当たるイメージが強かった。今後、医学研究の道を志す高校生も増えていくと予想されます」(同)
次に、地域別の北海道・東北、関東・甲信越、東京、北陸・東海の4つのエリアのランキングを見ていこう。
【北海道・東北】
東大・京大ともに、札幌南(北海道)、仙台第二(宮城)などトップ校が名を連ねた。合格者数10人以下でみると、東大と京大の合格者数が同程度の高校も多い。駿台教育研究所進学情報事業部の石原賢一部長が解説する。
「特に東北地区では近年、京大の志望者が増加。背景の一つは、入試システム改革です。一般的な国公立大のパターンになり、受験しやすくなりました。また、京大は営業にも力を入れている。東北地区まで教授が高校訪問を行っていることも、大きいですね」