【関東・甲信越】
 東大合格校で目立つのが渋谷教育学園幕張(千葉)、栄東(埼玉)など、90年代以降に伸びた新興私学だ。

「千葉や埼玉は、もともと公立校が優勢でした。ただ、進学実績に心もとなさを感じている保護者もいた。進学志向のある家庭が注目する高校として渋幕や栄東が位置付けられ、合格実績を伸ばしているのです」(石原さん)

 京大は、県立浦和(埼玉)、県立前橋(群馬)など公立の伝統校が強い。

「地方在住者の大学進学には、立地条件も大きく関わります。京大は、子どもは修学旅行で京都を訪れてなじみがあり、保護者にとってもイメージが掴みやすいのです」(同)

【東京】
 全国版同様、開成、筑波大附駒場、麻布などの中高一貫男子校がランキングを席巻した。女子校から入ったのは桜蔭のみ。東大は女子生徒から敬遠されがちなのか。つい最近も、東大は学生の女性比率が2割をなかなか超えられないことが話題になった。ただ、京大もかろうじて2割を超えた程度だ。

「日本はまだまだ男社会。企業に就職しても、目に見えない差別に苦しむこともある。『ならば手に職を』と、学力のある女子が医学部を志望するケースが多くあります」(同)

 京大では対照的に、国立、西、戸山と、都内の公立校が目立つ。

「関東だと、私立校では東大が難しいと早稲田大や慶應大が押さえになりやすい。一方、公立は経済的な事情もあり、『東大が難しければ京大』という流れがまだあるのです」(同)

【北陸・東海】
 三河地区の岡崎、尾張地区の旭丘(ともに愛知)など、各県トップの公立校が上位に食い込んだ。

「首都圏・関西・広島・高知は、公立より私立が強い地域ですが、その他の地方では基本的に、県立・公立高校が優勢なのです。北陸や東海も進学実績のある上位校は公立ですね」(同)

 また、石原さんによるとこの地域の私立校在籍生は医学部志向が強いという。都市部と比べ、企業で働く選択肢が少ないため、医師を目指す傾向もあるようだ。

 ここまで2019年のランキングをみてきたが、2020年の速報データは週刊朝日2020年3月20日号で詳しく報じている。

<表の見方>
 大学通信調べ。合格者数は各高校への調査による。非公表・未回答の高校は掲載していない。◇=国立、○=私立、無印は公立。

(本誌・松岡瑛理)

※週刊朝日3月20日号に加筆