なお、映画第1弾のパンフレットで、彼は自分の役である「ボクちゃん」についてこう語っている。
「ボクちゃんって駄目なやつだし、実は結構お金大好きだし、一番怖い人なんじゃないのかなとも思いますね。ただ、僕自身に結構似ているともとも言われて、いいのか悪いのか(笑)。僕が演じているからそうなっているのであって、別の方が演じたらもっと心のきれいなボクちゃんになるかもしれないですけどね(笑)。でもそれだけに面白くて、好きなキャラクターです」
意外と自分の「クズ男」ぶりをわかっていて、芝居にも活かし、またそれを楽しんでいるような口ぶりだ。今回の不倫騒動を機に、ますます自覚的に演じられるようになりそうだし、そういう役のオファーも増えるに違いない(クズ男以外のオファーがもう来ないのでは、ともいえるが……)。
ただ、この会見の東出について、自分の周囲では「少しやつれて、いい男になってた」とか「苦しそうな表情に、イケメン度が上がって見えた」という声も聞かれた。スキャンダルは芸の肥やしという、由緒ある芸能界の格言を死語にしないためにも、めげずに頑張ってもらいたい。
●宝泉薫(ほうせん・かおる)/1964年生まれ。早稲田大学第一文学部除籍後、ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て『週刊明星』『宝島30』『テレビブロス』などに執筆する。著書に『平成の死 追悼は生きる糧』『平成「一発屋」見聞録』『文春ムック あのアイドルがなぜヌードに』など。