小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中
小島慶子(こじま・けいこ)/エッセイスト。1972年生まれ。東京大学大学院情報学環客員研究員。近著に『幸せな結婚』(新潮社)。『仕事と子育てが大変すぎてリアルに泣いているママたちへ!』(日経BP社)が発売中
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新型ウイルスの感染拡大を防ぐうえで、離れていても対話や仕事を可能にする仕組みが注目されている。3月18日、N高ではオンライン卒業式が行われた (c)朝日新聞社
新型ウイルスの感染拡大を防ぐうえで、離れていても対話や仕事を可能にする仕組みが注目されている。3月18日、N高ではオンライン卒業式が行われた (c)朝日新聞社

 タレントでエッセイストの小島慶子さんが「AERA」で連載する「幸複のススメ!」をお届けします。多くの原稿を抱え、夫と息子たちが住むオーストラリアと、仕事のある日本とを往復する小島さん。日々の暮らしの中から生まれる思いを綴ります。

*  *  *

 最後に家族と会ったのは、お正月。3月の渡豪は取りやめました。日本で新型コロナウイルスの感染拡大が始まっていたので、もしも自分が知らないうちに無症状で感染していたら、家族とコミュニティーに感染を広げてしまいかねないと思ったからです。

 オーストラリアでは東部を中心に感染が拡大しており、中でも海外からウイルスを持ち込むケースが目立つことから、豪政府は3月19日、事実上の国境封鎖を決断しました。同日に初めての市中感染が確認された西オーストラリア州では、100人以上の集会が禁止され、4月に予定されていた高3の長男の卒業パーティーも延期されました。まだ19日時点では学校閉鎖はしていませんが、おそらく時間の問題でしょう。4月は学校が2週間の秋休みに入ることから、毎年10日間ほどパースに戻って子どもたちと過ごすのですが、今年はそれもかないません。次はいつ家族と会えるのだろうと、思わず涙がにじみました。

 そんな折、1等航海士の友人から心配するメッセージが。ついこの前まで数カ月間も幼子と離れて洋上を旅していた彼女は、我が子に会えない寂しさをシェアする仲間です。

 グローバル出稼ぎ子育て仲間もいます。ピラティスのインストラクターをしているバルセロナの友人は外出禁止令が出ているので自宅でYouTube用の動画作りに励み、ニューヨークで大学の講師をしている友人は、既にオンライン講義になったとのこと。これが収まったら東京で集合してご飯食べようね!と励まし合いました。こんなときには、テレビ電話やメッセージアプリのありがたみが身に染みます。

 次に会うときにはきっと、育ち盛りの次男に身長を抜かれているでしょう。画面越しではハグできないのが寂しいけど、みんなで頑張って乗り切ろうねと毎日話しています。

AERA 2020年3月30日号