かけ算の暗算といえば、日本では長らく、「九九」か、伝統的な「そろばん暗算」だった。そこへ風穴を開けたのが、2ケタ同士のかけ算の答えを丸暗記してしまう「インド式」だった。インドの近年のIT化を支えているのが算数力ともいわれ、大きな話題になった。独特の筆算のやり方など、次々計算本が出版されている。

 そんななか、いま話題になっているのが現役東大医学部生が考案したという、「ゴースト暗算」だ。

 このメソッドが紹介されたのは、『6時間でできる! 2ケタ×2ケタの暗算-岩波メソッドゴースト暗算』だ。昨年7月に発売されると、テレビや雑誌で取り上げられ話題になり、発売からわずか10カ月で9刷35万部に達した。

 実際にゴースト暗算を使って、子ども向けの学習イベントなどを実施している日能研関東に聞いてみた。

「小学校中学年になると、算数が抽象的になるので、そこで嫌いになってしまう子が出てくる。この計算法はイラストなどを使っていて親しみやすく、算数に興味を持つきっかけになっているようです。暗算は、数字を一時的に覚えておく力が必要。算数担当の職員も、『頭のいつも使うところと違うところを使う気がする』と言っていますね」(教務部・篠田義孝さん)

※週刊朝日 2012年6月8日号