野球選手を含むアスリートにとって故障はつきもの。とはいえまだこれからという若手がケガで貴重な選手生命を損なってしまうのは、本人にとっても周囲にとっても痛恨の事態だ。それがまだデビューもしてないドラフト1位指名選手の長期離脱となれば、その影響の大きさは計り知れない。
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新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れている今季、昨年のドラフトで巨人に1位指名された右腕・堀田賢慎投手(18歳、青森山田高出身)がトミー・ジョン手術を受けたことが分かった。実戦復帰には1年半はかかると見られており、プロキャリアのしょっぱなからいきなり躓いてしまった形だ。
報道によると、堀田は1月の新人合同自主トレ中に右ひじの炎症と診断され、2月のキャンプでキャッチボールは再開したが、結局は手術を余儀なくされたという。この堀田の故障は彼だけの問題にとどまらなかった。
巨人は近年の新人選手たちが入団直後に故障するケースが多く、そうした経緯も重なったのか、4月には長谷川国利スカウト部長を編成本部付部長とする人事異動を発令した。これはいわゆる「懲罰人事」と関係者には受け止められている。確かに事前のスカウティング、身体検査が不十分だったとなれば、責任者の処分は免れ得ない流れだったのかもしれない。
じん帯を他部位から移植して再建するトミー・ジョン手術は昔から賛否両論。大けがからの復帰を果たして選手生命を長らえたプレーヤーがいる一方で、以前の球速が戻らずに復帰できなかった選手もいる。そのため最近ではじん帯を部分断裂してもトミー・ジョン手術はせず、再生療法の一種であるPRP療法を選択して早期復帰を目指す選手もいる。2014年にひじを痛めた田中将大(ヤンキース)もそうだった。
以前のコラムでも触れたが、アメリカでも近年では若年層のトミー・ジョン手術が増えている。2012年のドラフトでは1巡指名された高卒投手15人のうち7人が25歳までにトミージョン手術ないし関節唇の手術を受けたというデータもある。