「中学生は全員参加ですが、高校生は希望者のみで、他コースの生徒も参加できます。医師の講演会も開催しており、これらの体験によって、医師を目指す志が高くなります」(同)
26位の北嶺は、東大理三2人をはじめ34人が合格した。このうち現役合格は20人。卒業生が121人と多くないため、前述の占有率は40.5%、現役占有率も16.5%と高い。
同校では、医学部志望者を対象とした「北嶺メディカルスクール」を18年度から始めた。
「医師による講演会を年に10回ほど行うほか、希望者を対象に、病院や診療所の見学や模擬体験、東京大学医学部見学ツアーなどの医学部訪問を実施しています」(谷地田穣校長)
へき地での医療を体験する「赤ひげツアー」では、医師の指導の下での脳動脈瘤クリッピング術体験、カテーテル治療体験や腹腔鏡体験などができる。他にも礼文島の診療所を訪問する「Dr.コトーキャンプ」、心臓手術の模擬体験を行う「ブラックジャックセミナー」など個性的な体験型プログラムに参加できる。
同校には寮に入り国公立大学医学科や東大を目指す「青雲寮コース」があり、全国の生徒が集まっているため、19年度の長期休暇には大阪の病院、名古屋の内科クリニックを見学した。
「医師である保護者の協力のもと、道外でも医療体験ができました。大阪の病院で帝王切開を見学した生徒は、赤ちゃんの産声を聞き、誕生の瞬間に立ち会ったことに感動して、『産婦人科医になりたい』と言っていました。多感な時期にさまざまな医療体験を通して、医師になる覚悟や医師に必要な資質を育てたいと考えています」(同)
■自治体の支援で地元病院と連携
人口10万人あたりの医師数が全国平均よりも低い都道府県では、地元で働く医師確保のために自治体が支援を行っている。
国公立大医学科合格者数が3年連続公立トップで、全国11位の札幌南は51人が合格した。同校がある北海道では、教育委員会が医学部進学を目指す生徒への支援を行う「地域医療を支える人づくりプロジェクト事業」を08年から実施。北大医学部、旭川医科大、札幌医科大の協力のもと、道立高校の生徒を対象に体験学習、英語と数学の講義などを行う「メディカル・キャンプ・セミナー」を行っており、札幌南の生徒も参加している。