これまでに最も飛距離が出たホームランは、いつ、どこで、誰が打ったのか?この質問に答えるには、「推定」の2文字抜きには語れない。
【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!
球場の外に打球が消える場外ホームランは、正確な着地点がわからないことがほとんどだし、ドームの天井を直撃した“認定ホームラン”も、当然「天井に当たらなければ、どこまで飛んだか」という推定飛距離になるからだ。
そんななかで、プロ野球史上最長飛距離とされているのが、2005年6月3日、西武・カブレラが横浜戦(インボイスSEIBUドーム)の2回に三浦大輔から放った推定180メートル弾だ。
打球が左翼の屋根の鉄骨部分(高さ60メートル)に当たり、左中間のグラウンド上に落下したものだが、スタンドの観客は超高速ミサイルのような打球を一瞬見失い、呆然。ベンチで見ていた伊東勤監督も「あんな当たりは生まれて初めて見た。度肝を抜かれたよ。あそこまで飛ばすなんて、もう野球じゃないね」と呆れるほどの豪快弾だった。
審判団が協議の末、同球場のローカルルールにより、認定ホームランになったが、推定飛距離は、カブレラ自身が01年に2度にわたって記録した推定170メートル以上の特大弾と比較検討した五十嵐義夫公式記録員の「(この2発を)遥かにしのぐ」のひとことが決め手となり、推定180メートル弾になったという。日本最長更新を記念して、同球場の左翼席上段に「推定180メートル」の記念プレートも設置された。
実は、カブレラは02年5月6日の日本ハム戦(東京ドーム)でも、シールバックから左翼手定位置上方の屋根を直撃する推定200メートル弾を放っている。フェアゾーンに落ちたことから、不運にもシングルヒットにされてしまったが、もし、これが本塁打だったら、60年にミッキー・マントル(ヤンキース)が記録したギネスブック掲載の史上最長本塁打・640フィート(約195メートル)を抜いて世界一になるところだった……。