北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。作家、女性のためのセックスグッズショップ「ラブピースクラブ」代表
この記事の写真をすべて見る
イラスト/田房永子
イラスト/田房永子

 作家・北原みのり氏の週刊朝日連載「ニッポンスッポンポンNEO」。最終回は、新型コロナウイルス感染症の年代別・男女別の感染者数からわかること。

【この記事の画像の続きはこちら】

*  *  *

 ウイルスは差別しない。

 国連女性機関のHPに、そう記してある。実際、4月17日時点のWHOの調査によれば、新型コロナウイルス感染者の男女比はほぼ半々だ。また男女ともに50代の感染者が最も多い。死者の男女比は、国によって違うが(北欧はこういう時も男女平等なのか、ほぼ半々)、多くの国で男性のほうが多く亡くなっている。理由はわかっていない。

 一方、東京新聞の都内感染者のデータ(4月19日時点)によれば、日本の場合、20代から50代まで、感染者数は大きく変わらない。興味深いのは、年代別の男女内訳だ。本来ならば男女半々になるはずが、世代によって極端な偏りがあるのだ。

 40代が最も顕著だ。40代は男性の比率が7割強で、これは他の世代に比べ最も高い割合になっている。次に60代で、男女比は約7対3で圧倒的に男性が感染している。年代ごとに男女の感染者数の率を水平棒グラフでみると、男性の場合、10代から少しずつ増えていき、ピークが40代で、90代に向かって徐々に減っていく山型になる。一方、女性は10代から次第に減っていき、40代を底に90代に向かって上がる谷型だ。グラフでみると、なかなかインパクトがある。男のピーク40代、女は、90、10、80、20代の順。

 ウイルスは差別しない。とすると、“日本的”なこの偏りはどのように説明できるだろう。

 このグラフを見た友人は「うわっ!」と叫んでいた(こういう状況になって、友人たちとはほぼZoomでやりとりするようになった。これはけっこう楽しい。このデータもオンラインで友人数人と話している時に、共有したものだ)。別の友人は「うー」と唸った。もう一人は「わかる、わかるわ!」と頷き、私は言葉が出なかった。

次のページ