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 スポーツ整形外科では、まずはリハビリ、薬物治療などの保存療法を治療の基本とする。どうしても手術が必要な場合は、回復を早めるため、極力からだの組織を傷つけない、最小侵襲の手術をおこなうという。

「スポーツ整形外科のスタッフは、日頃から小さな傷で手術をおこなう関節鏡手術のトレーニングを積み重ねて技術を高めています。たとえばひざでは十字靱帯や半月板の損傷、肩では、肩関節が繰り返しはずれる反復性肩脱臼や肩の筋肉の一種である腱板が切れる肩腱板断裂といった疾患をはじめ、多くの手術に関節鏡を用いています」(山崎医師)

「ひざに関しては、関節鏡技術認定制度があります。技量が一定の高い水準にある認定医を、日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会のホームページで探すことができます」(黒田医師)

 週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』に掲載している手術数データにはひざ、肩のほか、肘、脊椎脊髄、股関節の手術数と、スポーツ外傷・障害の手術をする主たる医師とその部位を示している。

「スポーツ整形外科の場合には、医学的に許せる限り選手の希望を優先します。手術が正解でないケースも多いため、単純に手術数が多ければいいとは言えません。ただ、手術数については、年間50例くらいが一定の技術レベルにある目安にはなるでしょう」(同)

 スポーツ整形外科は、プロ選手に限らず、子どもや一般のスポーツ愛好家のためにもある。

「たとえば野球肘には、正しい診断と予防が不可欠です。投球制限だけでなく適切なリハビリやフォームの改善まで指導できるスポーツ医や理学療法士がいる病院で、ぜひ治療を受けてほしいと思います」(山崎医師)
(文/坂井由美)

≪取材した医師≫
神戸大学病院 整形外科 教授 黒田良祐 医師
横浜南共済病院 スポーツ整形外科 部長 山崎哲也 医師

※週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』より