週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から回答を得た結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。病院ランキングだけでなく、治療法ごとの最新動向やセカンドオピニオンをとるべきケース、ランキングの読み方などを専門の医師に取材して掲載している。ここでは、「スポーツ整形外科」の解説を紹介する。
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■スポーツ整形外科の基礎知識
「スポーツ整形外科」は、おもにスポーツや運動による外傷や障害を治療対象とする。一般的な「整形外科」との違いを、神戸大学病院の黒田良祐医師はこう説明する。
「捻挫や骨折といったけがは、一般に整形外科にかかると思います。スポーツ整形外科ではそういった『突発的なけが』の治療・手術に加えて、たとえばいわゆる野球肘、ランナーひざのようにスポーツ特有の動作の繰り返しによる使い過ぎが原因で起こる、『慢性の障害』を専門的に診断・治療します」
そして、さらにもう一つ、違いがあると横浜南共済病院の山崎哲也医師は言う。
「治療の目標が、整形外科では『けがを治すこと』にあるのに対し、スポーツ整形外科の場合は、『スポーツの現場に復帰すること』がゴールとなります。そのため、患者さんの要望を聞きながら、最善の治療法を一緒に決定し、リハビリやトレーニングを含めた治療計画を立てるのです」
スポーツ整形外科の認知度はまだ高いとはいえず、その診療科がある病院の数は多くない。そこで病院選びの際に参考にしたいのが、「スポーツ医」がいるかどうかという点だ。
現在、日本におけるスポーツや運動に関連する医師の資格制度には、次の3種類がある。 一つ目は「日本スポーツ協会公認スポーツドクター((1))」。競技スポーツを対象とし、日本スポーツ協会の各団体から推薦を受けた医師が講習を受けて資格を得る。二つ目は、「日本整形外科学会認定スポーツ医((2))」。整形外科専門医が、さらにスポーツ医学の知識を学んで認定される。三つ目は、「日本医師会認定健康スポーツ医((3))」。講習会を修了した医師が認定され、高齢者を含む一般の人の健康増進のために、運動指導をおこなう。