生活環境が原因でドライアイになる人が急増しているという。しかし、その背景に自己免疫疾患のシェーグレン症候群が隠れている場合がある。ドライアイとの見分け方を、東京医療センターシェーグレン症候群外来の秋谷久美子医師に聞いた。


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 単純なドライアイと区別しなければならない病気に、シェーグレン症候群という自己免疫疾患があります。好発年齢は30~60歳代で、男女比が1対14と女性に多い病気です。
 シェーグレン症候群では、自己免疫反応(本来はウイルスなど外部からの異物を排除する免疫反応が、自分の組織を攻撃してしまうこと)により、涙腺や唾液腺に慢性的な炎症が生じるために、涙や唾液の分泌が低下し、ドライアイやドライマウスの症状を呈します(腺症状)。
 ドライアイの中でも次のような症状が強い場合、シェーグレン症候群が疑われます。【1】眼の異物感やごろごろ感が強い、【2】ほこりが入るなどの刺激に対して涙が出にくい。また、「口が乾いて乾燥した食べ物が食べにくい」「虫歯が急に増えた」「疲れたときなどに耳下腺の腫れを繰り返す」など特徴的な自覚症状です。
 治療は眼や口の症状に対する対症療法が中心ですが、最近では効果が見込める場合にはミゾリビンという弱めの免疫抑制剤を使って炎症を抑えることがあります(保険適応外)。
 ドライアイに対する認識が広まり、眼科でもシェーグレン症候群を視野に入れた診断・治療が実施されるようになってきています。もし、自分の症状に疑いがあるようであれば、医師に率直に聞いてみてはいかがでしょうか。
※週刊朝日 2011年5月4・11日合併号


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