2015年、廃駅前の大志田駅。スイッチバックの引き込み線には、線路の敷石を運ぶ台車が置いてあった(C)朝日新聞社
2015年、廃駅前の大志田駅。スイッチバックの引き込み線には、線路の敷石を運ぶ台車が置いてあった(C)朝日新聞社
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閉伊川に架かる国道106号の橋(左奥)と、その向こう側で建設中の宮古盛岡横断道路、JR山田線、旧道が複雑に交差するJR腹帯駅近く(C)朝日新聞社
閉伊川に架かる国道106号の橋(左奥)と、その向こう側で建設中の宮古盛岡横断道路、JR山田線、旧道が複雑に交差するJR腹帯駅近く(C)朝日新聞社
外房線を走る209系。外房線は1972年、房総東線の電化とともに改称された(写真/フォトライブラリー)
外房線を走る209系。外房線は1972年、房総東線の電化とともに改称された(写真/フォトライブラリー)
旧大網駅跡地にはモニュメントとして腕木式信号機がたつ(C)朝日新聞社
旧大網駅跡地にはモニュメントとして腕木式信号機がたつ(C)朝日新聞社

 さる4月17日、北海道で16駅がその役割を終えた。JR北海道札沼線の廃止と運命をともにしたのである。こうして路線とともに生涯を終える駅もあれば、ひっそりと姿を消す駅もある。また、時代とともに大きく変貌を遂げ、昔を懐かしむこともあるかもしれない。

【写真】旧大網駅にあるモニュメントはこちら

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■「時刻表」誌面で異彩を放っていた不思議な駅──山田線・大志田駅

「乗り降りしているお客さまを見たことがありません」

 乗り込んだ列車内で乗車券を求めると、車掌からそんな反応が返ってきた。JR東日本・山田線の大志田(おおしだ)駅を訪れた際のひとコマである。

「時刻表」を読んでいると、ときに不思議な思いにとらわれることがある。大志田駅もそんな物件のひとつで、ある種謎めいた駅として興味を引いたものだ。

 なにしろ、停車する列車が下り1本と上り2本だけなのである(現役当時)。実際には、4往復が大志田駅を通るのだが、ただでさえ運行本数が少ないというのに、その大半からソッポを向かれているとは……。つまり、そんな大志田駅がどんなところなのか、無性に興味を引かれてしまったのであった。

 話がややこしくなるので最初にお断りしておくが、大志田駅は2016年3月26日に隣の浅岸(あさぎし)駅とともに廃止されている。だが、そんな不遇をかこったような駅が、平成の後半にまでたしかに存在していたのである。

 山田線は、盛岡を起点に宮古までを結ぶ全長102.1キロメートルの非電化線だ。宮古は三陸沿岸の主要都市。その宮古と東北新幹線の主要駅である盛岡と結ぶ路線となれば、立派な都市間路線といえるが、実態は第1級のローカル線にすぎない。最新の「時刻表」を開くと、定期列車は全線直通列車が4往復のほか、盛岡~上米内(かみよない)間に2往復(1往復は休日運休)と川内・茂市~宮古間の区間運転が4本あるだけだ。もちろん、大志田駅の文字もない。

 これは、路線が広大な北上山地を横断していることによる。沿線の大半で町はおろか集落さえごく限られたような過疎地域。路線そのものは盛岡と宮古という都市間を結ぶものの、途中駅での利用者は少なくならざるをえないのであった。また、併行する国道106号には盛岡~宮古間を結ぶ「106急行バス」(2019年7月からは「106特急バス」も)がほぼ1時間間隔で運行されているのも鉄道にとっては脅威なのに違いない。

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外房線にあった不思議なスイッチバック駅とは?