一方、イスラエルでは、経済は不可欠ですが、中心的な議題には入りません。安全保障問題と社会問題が最初に重要視されます。ニュースでも、政治問題や一般的な市民生活がより重要であると見なされています。そのためイスラエル政府は、彼らの政治および社会的立場に従って選出されており、経済政策については必ずしも必要ではありません。イスラエルの政治家は経済政策を前面に押し出して選挙に勝つことはできず、有権者も通常、悪い経済管理を行ったからといって政治家を罰しません。前の政府(2009-13年)はイスラエルに巨額の国家債務を課し、それはこの数十年で最大のものですが、それでも再び同じ首相が選出されました。
一般的にイスラエル人は、人間的生活が経済よりも重要なものと考えています。例えば家族とともに過ごすことはより重要なことと考えられ、そのため家族の時間が仕事より優先されます。週末に働くことはイスラエルでは非常にまれです。宗教家にとっては彼らが住んでいる宗教コミュニティーの生活が非常に重要で、またユダヤの宗教家たちは「ユダヤの知恵を学ぶことは経済的に成功することよりも社会的に価値がある」と考えます。
コロナウイルスの猛威はイスラエルでも大きな経済的損害を残しています。特に大きな打撃を受けたセクターの一つが飲食業です。カフェは大都市、特にテルアビブでの生活の重要な部分ですが、ファストフード文化は日本ほど広く普及していません。私が一人で日本に住んでいた時、ラーメン屋や定食屋に食べに出かける方が簡単で安価でした。イスラエルで外食は高価であり非日常なので、イスラエル人は家庭で食べることに慣れています。そのためコロナは飲食業をさらに困難にしました。
観光業も深刻な影響を受ける分野です。観光はイスラエルでは重要な収入源であり、毎年数百万人の外国人観光客が聖地巡礼や古い歴史的遺物の見学に訪れます。また過ごしやすい地中海の気候やビーチでのんびり休日を楽しみたい人々にとっても、イスラエルは魅力的な旅行先です。しかし今、こうした観光客向けのホテルは空です。