イスラエルでは、コロナウイルスによる社会封鎖が続き、経済への影響は深刻になっています。この長期間の企業や商店の閉鎖によって900億シェケル(250億米ドル)の経済損失が見積もられています。
失業率は2019年12月の3.5%から20年4月30日現在で25%以上まではね上がり、人口900万人のうち100万人以上の失業者が出ています。このコロナによる社会的影響を抑え経済を機能させるために、政府は800億シェケル(約230億米ドル)の経済対策を発表しました。それは国家赤字を4%以上増やすことになります。
コロナ危機に対するイスラエル政府の対応をみると、イスラエル政府は経済について日本政府より重要視しなかったようです。すでに今年3月上旬から、イスラエルの労働人口は30%に抑えられ、社会機能に必要最小限の労働者だけが仕事場に行くことを許されました。そして緊急でない一般の商店、エンターテインメントやショッピングセンターは一時閉店を命じられました。社会でオープンしている店は、スーパーマーケットと薬局だけです。そしてレストランなどの飲食店は出前だけが許される状態が今でも続いています。
日本では、政府が国民に家にいることを推奨していますが、職場や商店を閉め始めたのは4月下旬からでした。工場、公共部門など多くの労働者は働き続けました。危機の最初の2ヵ月、飲食店やエンターテインメント施設(居酒屋、カラオケ、パチンコ店を含む)は普通に開いていました。京都に住んでいる私の教え子が、最近まで街なかのいろいろなスターバックスで時間を過ごしていたと話していて、驚きました。
この危機に対する両国の対応の違いは、イスラエルと日本の社会における経済の重要性に関係があると私は思います。
日本では、我々が知っているように、経済的な成功が戦後のサクセス・ストーリーの中心を占めています。日本の「経済モデル」は、世界的に有名な日本に対するイメージです。そのため、当たり前ですが、日本の政策において経済は中心課題として位置づけられています。日本のテレビニュースは、私が知っている他のどの国よりもより広範囲に経済を扱い、一般日刊紙上でも一面に、専門家しか見ないようなグラフなどで解説した経済記事や、経済の授業でしかお目にかからないような数字が掲載されています。