定番の明治ブルガリアヨーグルトは「腸内細菌のバランスを整える」効果があるとしてトクホの許可を得ているほか、腸内に生きたまま届く「シロタ株」という乳酸菌で有名なヤクルトなどもトクホだ。

 ただ、トクホや機能性表示食品を食べたからといってすぐに効果があるということではない。

「そもそもヨーグルトは食品なので『ウイルスに対する効果がある』といった医薬品のような表現は薬機法などの規制によりできません。免疫アップに効果がありそうなヨーグルト製品ですが、『強くなる』『負けない』『守る』などの表現を使って特徴を表しています」

 曖昧な表現から類推するのではなく、ズバリ免疫に効きそうなヨーグルトが知りたい。あ、「効く」という表現は食品なのでNGか……。そこで、乳業メーカー各社が販売している代表的なヨーグルトに含まれる13種類の乳酸菌がどんな働きをするのかを、報告されている論文などをもとに日本獣医生命科学大学教授の戸塚護さんに説明してもらった。

 例えば前出のR‐1に含まれる「OLL1073R‐1」の場合、「ナチュラルキラー細胞の活性化や唾液中の免疫グロブリンA抗体量の増加」などの効果が報告されている。ナチュラルキラー細胞とは免疫細胞の一つ「NK細胞」のことで、免疫グロブリンAは粘膜で働く抗体「IgA」のことだ。

「腸にいる免疫細胞が免疫グロブリンAを作り、ナチュラルキラー細胞を活性化します。ヨーグルトには腸内環境を活性化して免疫細胞の働きを高める効果が期待できるので、免疫力向上を陰で支えるヨーグルトに注目が集まっているわけです」

食品・乳業メーカーは何千種類といわれる乳酸菌の中から、商品化できる菌の発見・開発に多額の資金と人材を投じている。戸塚さんは言う。

「実際に製品に採用される乳酸菌はいわば、数々の試験をかいくぐって選び抜かれた『乳酸菌のエリート』といっても過言ではありません」

 ただ、「いい菌」の定義には変化の兆しも見える。これまで、いい菌とは胃酸や胆汁酸をかいくぐって腸まで届く強い菌のことだった。だが近年は、シールド乳酸菌やプラズマ乳酸菌など、生きて腸に届かなくても体内の免疫活動を活発化させる効果が報告されている乳酸菌も人気だ。たとえば小岩井乳業の「イミューズ」は生のヨーグルトだけでなく、グミやサプリメントとしても販売されている。

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