「意思疎通はいらない、パスの決定権をどっちかに持たせろ」
決定権を持つのは1人だけも、識学の考え方です。
後藤さん3年目のシーズン、追手門は日本一に。そして、後藤さんは識学の社員になりました。西田さんも社員になりました。
そして、そして。
昨年4月、識学と早稲田、立教それぞれのラグビー部が提携しました。後藤さんは早稲田のコーチに、西田さんはフルに立教ラグビーを見るヘッドコーチに就任しました。
今年1月、新しくなった国立競技場での大学選手権決勝。早稲田は明治に45‐35で勝ち、11年ぶりに日本一になりました。前半で大きくリードし、後半でダメを押しての見事な勝利でした。
後藤さんいわく、明治は大学史上最強のチームでした。なぜ勝てたのか。それを識学的に説明すると、次のようになります。
前年の12月1日、東京の秩父宮ラグビー場であった、Aグループ最終戦の早明戦。早稲田は7‐36で大敗。それで、自分たちに足りないところが明確になりました。日本一に向けて明治はチーム力を上げてくる。だったら、早稲田はその上を行こうと目標を明確化し、今年1月の決勝に向けて力を積み上げていったのです。経過変化を重視しての勝利でした。
そして、もう一つ。後藤さんたちが考えたのは、強い組織を崩す方法でした。強い組織は、決めたルールどおりに動く。そのルールを崩壊させるか、ルールに従うことのデメリットを顕在化させれば勝てる。
「試合では、今までにやったことのないプレーを連発しました」
と後藤さん。それが、前半の大量リードにつながったと言えそうです。
昨年12月、立教と成蹊との入れ替え戦です。
西田さんは、こんなゲームプランを立てました。
相手とぶつかったとき、前に行けたら勝ち、後ろに倒れたら負け、その場で倒れたら引き分けとして、30%勝つこと。そんな目標数字を示しました。23‐21で勝利。ぶつかりあいの勝率は29.8%でした。