その清原が、野村と肩を並べる日本タイのサヨナラ弾を放ったのが、オリックス時代の06年5月27日の横浜戦(スカイマーク)だ。

 3対6とリードされた9回1死満塁のチャンスに打席に立った清原は、カウント1-1から日本最速161キロ(当時)の記録保持者・クルーンの3球目、外角低め152キロを流し打ち。高々と上がった打球は、長い滞空時間を経て、右中間席に着弾した。野村と並ぶ歴代トップの通算11本目。逆転サヨナラ満塁弾は、野球人生で初体験だった。

「もう頭パニックや!」と興奮しまくりの清原は、「野球やってて良かった。プロ21年間で一番うれしいホームランや。もう1年分仕事した気分。しかも、クルーンから打てたんやから。自分の力じゃない気がする。ファンが、チームメートが、(前監督)仰木さんが打たしてくれたんやと思う」と喜びを爆発させた。

 その後、8月29日に古巣の西武戦(スカイマーク)で、延長11回に長田秀一郎からサヨナラ2ランを放ち、12本で歴代単独トップに。お立ち台で「(最終)電車のお知らせが出てたんで、僕もちょっと心配になって、はよイカなあかんかなと思いました」とコメントし、笑いを取った清原にとって、これが現役最後から数えて2番目の本塁打となった。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2019」(野球文明叢書)。

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