2008年、大阪桐蔭の夏制覇に大きく貢献した浅村栄斗 (c)朝日新聞社
2008年、大阪桐蔭の夏制覇に大きく貢献した浅村栄斗 (c)朝日新聞社
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 今年は残念ながら春、夏ともに中止となった高校野球甲子園大会。これまで数多くの名勝負が繰り広げられてきたが、甲子園でのプレーがきっかけで急成長を遂げた選手も少なくない。今回はそんな甲子園で大化けした歴代の選手を紹介したいと思う。

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 ここ数年で最もインパクトが強いのはやはり中村奨成(広陵)になるだろう。2017年夏の甲子園大会に3番、キャッチャーで出場すると、32年前に清原和博(PL学園)が記録した5本を上回る6本塁打を放ち、大会最多本塁打記録を打ち立てたのだ。中村は1年春からレギュラーを任され元々評価の高い選手だったが、甲子園に出場するまでは完全に守備の評価が先行していた。

 筆者も実際に1年春の中国大会で初めて中村を見た時の打撃の印象は全く残っていない。3年夏の広島大会初戦でも右手に死球を受けた影響もあったが、打つ方では精彩を欠いていた。しかし甲子園では初戦の中京大中京戦で2本のホームランを放って勢いに乗り、手の付けられない状態となっていた。6本塁打以外にも17打点、43塁打は大会新記録、19安打、6二塁打も大会タイ記録である。この甲子園での大爆発がなければ、ドラフト会議でもいきなり2球団が競合することはなかっただろう。

 投手で真っ先に思い浮かぶのはやはり斎藤佑樹(早稲田実)だ。2年秋に明治神宮大会、3年春の選抜にも出場していたが、それまでは140キロ前後のスピードで飛びぬけた武器はなく、まとまりのある高校レベルの好投手という印象だった。大きな転機となったのが2回戦の大阪桐蔭戦だ。1回戦で選抜優勝の横浜から11点を奪って勢いに乗る大阪桐蔭打線を相手に立ち上がりからエンジン全開で打者一巡をノーヒットに抑え、12奪三振で2失点完投。特に4番の中田翔(現日本ハム)を3三振と完璧に封じた投球は見事で、8回にこの日最速となる148キロもマークしている。この試合でつけた自信が、その後の歴史に残る快投に繋がったと言えるだろう。

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斎藤の翌年に登場した投手も…