球春到来の一方で、悶々とした日々を過ごす男がいる。アスレチックからFAとなった松井秀喜(37)は、移籍先が決まらないまま開幕を迎えた。米ニューヨークで自主トレを続けながら、朗報を待つ。

 近年の大リーグではFA選手が「売れ残り」、大物のベテランが引退の危機にある。松井はもう大リーグでプレーできないのだろうか。大リーグ評論家の福島良一氏に聞いた。

「近く決まる可能性は、50%ぐらい。でもシーズン中には100%に近い確率で決まるはずです」

 松井ファンには心強い言葉ではないか。では、獲得に名乗りを上げそうな球団はどこか。福島氏が語る。

「戦力から考えて、ドジャース、ブルージェイズ、アストロズあたり。なかでもドジャースはこのオフ、左の代打及び左翼手をリストアップしていた。しかも監督は松井のヤンキース時代の打撃コーチですからね」

 松井は現状、日本球界復帰はないと明言している。大リーグ担当記者が言う。

「今季大リーグでプレーすれば、日本で10年、米国で10年やったことになる。そういう区切りを大事にする男なんですよ」

 今年の正月、石川県に帰省した松井は、野球少年たちの前で言った。

「今年はたくさんホームランが見せられるように頑張りたい」

 近年は本塁打についてのこだわりを口にすることがなかった。膝の不安がなくなり、「やれる」との確信があるからこその言葉だ。

 ゴジラに春よ来い。

※週刊朝日 2012年4月13日号