甲子園で一世を風靡(ふうび)した選手が、プロ入り後に輝きを失ってしまうケースは少なくない。それだけ厳しい世界であることの証しだが、高校時代の活躍を知っている野球ファンからすれば「もう一度あの輝きを」と期待は大きい。「甲子園スター」だった斎藤佑樹、安楽智大、清宮幸太郎――。彼らの今後の活躍が注目される。
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・斎藤佑樹(日本ハム) ※プロ10年目
通算成績88試合登板 15勝26敗、防御率4.34
早稲田実高(西東京)の3年夏にエースで全国制覇。決勝・駒大苫小牧高(南北海道)戦では田中将大(大リーグ・ヤンキース)との投手戦となって延長15回で決着がつかず、引き分け再試合に。翌日の再試合で4連投を志願して13奪三振の力投で、同校史上初の夏の甲子園優勝に大きく貢献した。ハンカチで顔の汗を拭く姿が高校球児では珍しいことも話題になり、社会現象になるほどの人気だった。早大に進学後も東京六大学野球史上6人目の通算30勝300奪三振を達成するなどエースとして活躍した。だが、2010年秋のドラフト1位で日本ハムに入団後は、1年目の6勝が自己最多。右肩の故障もあり、苦難の日々が続いている。18、19年は未勝利に終わり、プロ10年目の今年は背水の陣だ。
・安楽智大(楽天) ※プロ6年目
通算成績37試合登板 5勝14敗、防御率4.01
安楽が全国に名をとどろかせたのは済美高(愛媛)の2年春だった。選抜大会で152キロを計測。全5試合に先発登板し、初戦で232球を投げて延長13回を完投するなど計772球の力投で、チームを準優勝に導いた。2年夏の全国選手権初戦では、選手権大会最速の155キロを計測。大会後は18歳以下ワールドカップの日本代表に選ばれ、予選第2ラウンドのキューバ戦で8回10奪三振無失点の快投を見せてメジャーからも注目された。14年秋のドラフト1位で楽天に入団。1年目にプロ初登板初先発と鮮やかなデビューを飾ったが、右肩痛などで万全な状態で投げられる時期が短く、プロ5年間で計5勝のみ。もう一度あの豪速球を見たい。