日光角化症とはどのようなものだろうか。実は発症に紫外線が関与するタイプの有棘細胞がんは、必ず日光角化症から発症することがわかっている。日光角化症が前がん病変といわれるゆえんだ。しかしがん化するのは約10%とされる。
日光角化症は、70代以上の顔に発生しやすく、治りづらい、赤くてざらざらした湿疹のような病変が現れ、進行すると有棘細胞がんと同じような病変となる。
日光角化症の治療はまず、イミキモド(商品名:ベセルナクリーム)という外用薬を用いる。就寝前に塗り、起床後、石鹸と水で洗い流す。これを週3回、1日おきで4週間続けて4週間中断してから受診し、効果をみる。刺激が強く、赤くなってただれることもある。
これで病変が消えれば、完治と考えてよい。2回繰り返しても効果がない場合は、液体窒素を用いて病変にやけどを起こして変性させる凍結療法をおこなう。
また、保険適用にはなっていないが、光線力学療法(PDT)という治療法もある。アミノレブリン酸(ALA)という、光に対する感受性をもつ物質を含んだ軟膏を塗り、特殊な光を照射して治療するものだ。
「日光角化症の病変が浅く、顔のあちこちに多発するケースには、効果が期待できます。実施している施設は限られていますが、当院では10万円前後で受けることができます」(錦織医師)
紫外線が誘因の有棘細胞がんは日光角化症を経て発現する。日光角化症を見逃さないことが肝要だ。
なお、ほかのがんの手術に関して、週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2020』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から回答を得た結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。同ムックの手術数ランキングの一部は特設サイトで無料公開。手術数でわかるいい病院 https://dot.asahi.com/goodhospital/
(ライター・別所 文)
<取材した医師>
がん・感染症センター都立駒込病院皮膚腫瘍科部長 吉野公二医師
神戸大学病院皮膚科診療科長・教授 錦織千佳子医師
※週刊朝日 2020年6月19日号