治療は切除が第一選択となる。がんの部分から数ミリ~5ミリほど余裕をもたせて切除、組織を病理検査に出す。組織の端(断端)にがん細胞がなければ、がんを取り切れたということになり、治療は終了となることが多い。2~3ミリ以下の小さなものでは、外来で施術を受けることができる。
しかし、がんが5ミリ以上になると切除部分が1センチ以上になり、皮膚再建が必要になる。太ももなどからの皮膚移植(植皮)がおこなわれることもある。この場合は、病院によって異なるが、7~10日程度の入院が必要になる。
神戸大学病院皮膚科診療科長・教授の錦織千佳子医師は次のように話す。
「基底細胞がんはきちんと切除してしまえば、再発はまずありません。なにかおかしいなと思ったら、早めの受診が勧められます」
一方、有棘細胞がんは、がんになる前の病変(前がん病変)の「日光角化症」(後述)も含めると、最も患者数が多い。紫外線のほかに、ヒトパピローマウイルスというウイルス、やけどの痕、以前に受けた放射線治療が原因になることもある。
赤っぽいしみのような病変で、かさかさして表面に粉のようなものが付いていることが多い。足や体幹、陰部などにもできることがある。
大きさが2センチ未満で厚さが4ミリ未満なら低リスクとされる。しかしそれ以上の大きさ・厚さになると、約5%にリンパ節などに転移がみられる。
そのため診断では、転移の有無をみるために、リンパ節の触診や超音波検査、CT(コンピューター断層撮影)、センチネルリンパ節生検などをおこなう。がん細胞がリンパの流れに乗って最初にたどり着くリンパ節をセンチネルリンパ節というが、がんの大きさが2センチ以上では、センチネルリンパ節の細胞を調べ、転移の有無を確認する。センチネルリンパ節に転移がなければ、ほかのリンパ節の転移はまずないことがわかっている。
■ 有棘細胞がんは前がん病変に要注意
治療は切除が基本になる。がんの部分より大きめに切除する。小さく浅いものであれば、外来でも可能だが、皮膚再建が必要な場合や、転移が疑われる場合は、1~2週間程度の入院になる。
ほかの臓器に転移がある、がんが顔面神経周辺まで深く広がっている、目のふちなどにあって切除が難しいなどの場合は、切除し切れないこともある。その際はできる限り切除したのち、放射線+抗がん剤(シスプラチン、フルオロウラシル)治療がおこなわれる。