このようなミスマッチは、いろいろなシーンで起こっています。クオリティーの意味を「こだわり」と勘違いしてしまうケースです。商売におけるクオリティーの高さというのは、結局のところ「顧客が求めているものを提供する」ことです。いくら材料や製法にこだわっても、顧客がつかなければ、売り上げがあがらなければ、クオリティーが低いラーメンです。
そういう意味で言えば、日清のカップヌードルはクオリティーが高いラーメンです。「安い・早い・簡単」なラーメンで、面倒くさがりの顧客のニーズを正確に捉えて売り上げをあげ、人気です。こだわりのラーメンよりもずっとクオリティーが高いと言えます。
インスタントラーメンがクオリティーが高い、という概念を理解できない人は、YouTubeでも独りよがりの自己満足な動画を出しがちです。
YouTubeの動画も、「視聴者が求めているもの」を提供すれば再生されます。クオリティーの高さは、再生回数や登録者数という数字になって現れます。それは必ずしも美男美女が出演していたり、良いカメラを使って、すごく凝った編集をした動画や、映像作品のような動画とは限りません。
とてもおいしい料理を食べられるおしゃれな高級レストランでなくても、週3食べても飽きない定食屋さん、常連がたくさんいるカフェ、居心地の良い居酒屋、のような親しみやすさが人気になります。
完璧を求めなくても良い、完璧じゃないから良い、というジャンルも多々あります。素朴さ、素人っぽさ、身近な雰囲気がウケることも多々あります。
この捉え方で、YouTubeの動画をみてみると、あえてダサく、くだらなく、バカっぽく作っている動画も見いだせます。わざと演出している戦略的なチャンネルもあります。
YouTuberの本質はエンターテイナーなので、視聴者を満足させることを第一に考えて企画すると成功します。いかに自分の感覚ではなく視聴者の感覚に合わせられるか、が勝負ともいえます。
面白さにはいろいろな種類があります。本や雑誌や小説の面白さ、映画やドラマの面白さ、テレビ番組の面白さ、YouTubeの面白さ…フィールドが違えば求められているものも違います。
「つまらない」と卑下するだけでなく、「何が面白いんだろう?」と興味や関心を持ってみると、新しい発見があるかもしれません。